同じ日本でありながら、背筋がスッと伸びるようで厳かな空気が漂う高野山に行ってきました。
今回は、弘法大師(空海)が1,200年前に真言密教を開き1000メートル級の山々に囲まれた日本仏教の聖地「高野山」の宿坊「福智院」に宿泊した際の旅行記です。
高野山には、いつか行きたいという思いがずっとあり、旅行会社のパンフレットやウェブサイトを検索しながら、行くなら絶対「宿坊」に泊まりたいという思いを募らせていた矢先、NHKスペシャルで「高野山金剛峯寺」の襖絵を「千住博画伯」が描く過程を見て、高野山の迫力、絵の迫力に心を動かされ、旅行を計画たてました。
こちらでは、前半に、私が実際に宿泊した「福智院」の宿坊での様子を、後半は「宿坊に泊まる前の心配事」や「高野山までの交通」を写真と共にご紹介させていただきます。
高野山への旅行を考えていらっしゃる方、宿坊体験に興味のある方は是非ご覧ください。
宿坊の宿泊を選択した理由
私が高野山の宿坊での宿泊を選択した理由5つ
- 旅行の目的地である高野山金剛峰寺に近い
- 厳かな雰囲気を味わえる精進料理を食べられる
- 高野山での宿泊先ほとんどが宿坊
- 福智院には温泉がある
ホテルや旅館とは全く違う体験をすることができました。
「福智院」の宿坊体験
福智院の宿坊
ここ福智院は、1200年の歴史ある高野山に開かれた寺院の一つで、愛染明王という福徳円満良縁成就のご利益がある仏様のお寺です。
宿坊は、寺院、神社が僧侶、参拝者のために作られた宿泊施設で、福智院では天然温泉を備えるなどして参詣者を受け入れてくださっています。
また、精進料理をたべ、勤行を受け写経に参加するだけでなく、歴史ある建物や庭を愉しむことができます。また、この高野山のお寺にいる方々と直接接することで、日常とは違う厳かな雰囲気を経験できます。
部屋に上がる階段からも窓越しに桜が見えます。またぼんぼり風の電気の傘に風情があります。
金の立派な襖絵の部屋を廊下から見ることができます。
ロビーには、歴史が感じられる調度品がたくさん置かれていました。向こう側には庭園が見えます。
お庭のお手入れも相当丁寧にされていますし、建物もきれいにお掃除されていました。エアコンもあり、トイレはウオシュレットで安心です。
部屋は、トイレ付や庭が見える部屋などから選択ができます。また、食事の有無、グレードの選択も選べます。座椅子に取り外しができるタイプのマッサージ器が取り付けられていて無料で使うことができます。
精進料理
精進料理とは、肉や魚などの動物性たんぱく質や、匂いの強い食材を使わず、野菜や穀物など植物性の食品のみを使う料理です。鎌倉時代に仏教と共に中国から伝えられ戒に基づき調理されています。
福智院の豆腐と野菜をふんだんに取り入れた夕食
夕食は、メインがお豆腐入りの豆乳鍋でした。
夜になり少し寒くなってきたので、身体がじんわりとあたたまりした。
その他野菜の天ぷら、里芋、フキ、高野豆腐などのの煮物、お豆腐のゴマみそあえ、ゴマ豆腐、ワラビなどの山菜、サツマイモやグリーンピースを甘煮、イチゴやゆずのゼリーなど、デザートまでありびっくりしました。
ゆずのゼリーが美味しかったです。
一応?念のため?お酒はありますか?とお伺いしたところ、あるとおっしゃったのでびっくり。遠慮なくビールをいただきました!(ビールは別料金になります)
福智院の豆腐と野菜をふんだんに取り入れた朝食
朝食も豆乳鍋がメインでした。
朝の豆乳鍋は身体にしみわたります。
それ以外に美味しかったのはがんもどきと昆布の煮物やおからの和え物です。
精進料理とは言え、夕食も朝食も、思っていた以上に量があり、大食いの私も満腹になりました。
精進料理は日頃私たちが食べているものから、主食となるものをほぼ省いた食事になりますので、物足りないと思われる方もいらっしゃるとは思いますが、素材の味が分かる素朴な調理で胃腸にもやさしく、自分の食生活を改め直すいい機会になりました。
高野山唯一の天然温泉
弱アルカリ性の天然温泉。
高野山唯一の天然温泉です。
露天風呂もあり、脱衣場もとてもきれいなお風呂です。
ここのお湯がやわらかく、温度も熱すぎずぬるすぎず、私にはちょうどいい熱さでとても気に入り、夜も朝もお風呂に入りました。
特に朝に入るお風呂は、明るい光が差し込み、朝から清々しい気持ちになりますよ。
夜、脱衣場の床には床暖房が入っていて、髪の毛を乾かしたり、歯を磨いたり、心地よくゆったり過ごすことができました。
浴衣を借りることができ、柄物のかわいい靴下はお土産にいただきました。
写経
夜の8時から1500円で写経ができます。お経を書き写し、祈願や供養、精神統一のために試してみるのもいいかもしれませんね。
朝の勤行 ごんぎょう
朝6時から50分間、読経、法話を聴くことができる、勤行があります。個々で申し込みをし、有料ですが、祈願、供養もしてくださるようです。
勤行では、ひとりひとり椅子が容易されているので50分間正座ということはなく安心して参加できます。
勤行を行う部屋は、朱色・金色・黒色で調和されているのが、暗闇の中のろうそくの、はかない光から見てとれました。写真撮影が禁止のため、記録に残せませんでしたが、そこだけ別の空気が漂い、違う世界にいるかのように感じました。
とても貴重な体験をさせていただきました。
昭和を代表する作庭家、重森美玲氏が作った3つの庭
勤行の部屋のすぐ真裏に位置する庭で、スクエアに型取られている様がモダンです。
勤行から部屋への帰り道には立派な鯉が泳いでいる池の庭を見ることができました。
門を入ってすぐの枯山水も手入れが行き届き、流れが感じられるとても素敵な庭でした。
宿泊前の私の個人的な心配事
お寺は厳しいところ?
何しろ初めて訪れた宿坊です。朝のお勤めでは正座をし、少しでもふらっと居眠りなどしようものなら、竹刀でバシッとたたかれる。お作法を厳しくお説教される。そんなドラマやマンガで見るような光景を想像していた私です。
でも、実際は椅子が用意されていて、足はしびれないようになっていましたし、竹刀を持っているはずもなく、厳しい様子はまったくありませんでした。それどころか親切でうれしかったエピソードをひとつ書き記します。
チェックインである15時前に福智院に到着してしまい、門の桜のあまりの美しさに惹かれ、バチバチ写真を撮っていた私たち。雲が今まで見たことがないくらいに生き生きしていて、今日明日のお天気のこと、観光のことを話していると、お庭で庭木の手入れをなさっていた僧侶であろう方が、やさしく親切に話しかけてきてくださり、宿坊で、どんな修行が待っているのだろうかという不安が一気に吹き飛んだことを覚えています。
また、お世話をしてくださった方々は皆さんとても親切でした。スタッフには女性の方々も何人かいらして華やかな雰囲気でした。
アレルギーが発症しないか心配でした
お庭のお手入れも相当丁寧にされていましたが、古い建物の中も、隅々まで丁寧にお掃除されていました。私はハウスダストのアレルギー持ちで、もしかすると鼻がムズムズしてくしゃみや鼻水が止まらなくなってしまうかもしれないと、心配していましたが、心配は不要でした。
お布団は冷たい煎餅ぶとん?
お布団はふかふかで、想像していた煎餅布団でなく、気持ちよく熟睡できました。
部屋の中は快適?
冷たい廊下、寒い部屋を覚悟していましたが、訪問した日は春の暖かい日だったということもり、夜は少し冷えましたが、エアコンがついていますし、暖かい豆乳鍋を食べ、天然温泉で温まるので、不自由はありませんした。
ただ、冬に宿泊する場合はどうなのでしょうか。雪が積もるとお寺の方はおっしゃっていましたし、高野山の標高から万全の防寒対策をしていったほうがいいと思いました。
心配しすぎは無用でしたね。
高野山宿坊協会
高野山に行くのであれば、宿坊に泊まらずとも押さえておきたいところが「高野山宿坊協会」です。
宿坊の予約はもちろんの事、観光案内や、レンタサイクル、本格的な観光ガイドや金剛峯寺など観光名所の音声ガイドサービスも販売されています。
町の中心にあり、出向きやすいと思いますので、観光の前に一度足をのばすといいところです。
高野山までの交通
電車
お得な南海電鉄のきっぷ
南海電鉄から、お得な「高野山・世界遺産きっぷ」が発売されています。
①電車割引往復乗車券
②高野山バス2日間フリー乗車券
③配管施設割引券、お土産割引券が付いています。
料金
難波から 往復・乗車験のみ3,080円、片道・特急券付き3,630円
ルートと所要時間(特急を使うと約2時間)
例)
①「新大阪駅」から「なんば駅」まで御堂筋線で約15分
②「なんば駅」から「極楽橋駅」まで特急高野で約90分
③「極楽橋駅」から「高野山駅」まで南海高野線で約5分
購入場所
①なんば駅(またが南海電鉄他駅)の窓口
②旅行会社の主要営業所(※手数料がかかります)
発売期間
2021年4月1日~2022年3月31日
車
私たちは奈良から高野山に向かいましたので、そのルートをお伝えします。
ルート
「奈良」から大和御所道路(国道24号)を「橋本」まで南下し、紀の川フルーツラインで南海高野線まで進み、峠道を「高野山」まで登り続けます。
所要時間
所要時間は約2時間です。
交通手段について
車の移動について
私は、前日宿泊していた奈良から車で向かいましたが、山道は急なカーブの連続でしたが、思っていた以上に整備された峠道でした。
電車の移動について
荷物の持ち運びが大変ですが、ゆっくり景色を楽しみながらいくのであれば、赤いケーブルカーにも乗れますので電車の旅も楽しそうです。
旅行会社に旅をお任せ
電車の移動も車の移動も大きく所要時間がかわるというわけではなさそうです。
電車での、何度もある乗り換え、切符の手配が面倒だという方は、東京・大阪・京都などの各都市から出ている夜行バスや旅行会社のパックツアーに申し込みをしてもいいかもしれないですね。
高野山・世界遺産きっぷについて詳しく知りたい方→南海電鉄
旅の手配を任せてしまいたいという方→宿探しなら「JTB旅館・ホテル予約」
おわりに
これまで、弘法大師(空海)が1,200年前に真言密教を開き1000メートル級の山々に囲まれた日本仏教の聖地「高野山」の宿坊「福智院」に宿泊した際の様子を旅行記としてご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。
同じ日本でありながら、厳かな空気が漂う高野山ですが、宿坊は心のこもったおもてなしがあり温かい雰囲気でした。
宿坊「福智院」では、建物や日本庭園を堪能し、朝のおつとめでは、読経や法話に触れることができ、とても貴重な時間を過ごすことができました。
この記事が、高野山への旅行を考えていらっしゃる方、宿坊体験に興味のある方の参考になれば幸いです。
以上、日本仏教の聖地「高野山」の宿坊「福智院」に宿泊した際の様子をメモした旅行記でした。
最後までご覧いただきありがとうございました。